新規事業の市場規模を調査する方法とは?算出する方法を紹介

新規事業 市場規模

「ある領域で新規事業の立ち上げを検討しているが、市場規模がどれくらいわからない」
「伸びている市場を知り、市場規模の戦略策定をしたい」
と疑問・要望を抱えている方はいると思います。

この記事ではそのような方へ向けて、新規事業の市場規模の調査方法や伸びている市場(業界)をご紹介します。

新規事業の立ち上げ・推進を検討している方にぜひご一読いただきたいです。

目次

新規事業の市場規模を調査する必要性とは?

市場調査とは、特定の事業領域における年間の商取引が行われる見込み総額(売り上げ)です。新規事業を立ち上げる際に市場調査を行う目的・理由は、以下です。

・立ち上げる新規事業やプロダクト開発の際、見込み売上高を判断するため
・入手した市場調査や市場規模の数字と実感とずれを確認するため
・市場の背景や特徴を把握し、SWOT分析など競合調査を円滑に進めるため

新規事業の市場規模を考える際に知っておきたい用語

新規事業を立ち上げる際、当然「市場が大きい領域に投資」をすることでROI(Return on Investment、投資利益率)を大きくできます。しかし、単に市場が大きいだけでなく自身のサービス・プロダクトがどれだけ市場規模に対して「サービス提供ができるのか」。また「アプローチできるのか」を確認することが重要です。

それらを判断するために、以下の3つを意識しましょう。

・TAM(Total Addressable Market):獲得できる見込みがある全体の市場規模
・SAM(Serviceable Available Market):サービス提供ができる市場規模
・SOM(Serviceable Obtainable Market):アプローチができる市場規模

それぞれの関係は以下の図のようです。

新規事業の市場規模を調査する方法

ここまで新規事業の市場調査について紹介しました。ここでは市場規模の調査方法を2つ紹介します。

公開されている情報を確認する

1つ目は、以下のような団体が公開している情報を確認することです。多くは無料で公開されていますが、民間会社が公表しているデータは有料であることが多いです。

・官公庁/自治体
・業界団体
・シンクタンク/金融機関
・民間調査会社
・有力全国紙・ビジネス誌
・業界専門誌

それぞれの情報集媒体の特徴はこちらの記事をご覧ください。

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フェルミ推定を用いる

官公庁や民間会社が自身の欲しいデータを公表していない場合、概算する必要があります。また、自ら市場規模を概算することで市場の特徴や事業のポイントを把握できます。この時に役に立つのがフェルミ推定です。フェルミ推定とは仮説立てをして、論理的に推測することです。

フェルミ推定の具体例

ここでは「家庭用キャットフードの年間市場規模」を例としてフェルミ推定の例を紹介します。

家庭用キャットフードの年間市場規模を求めるためには、

①日本にいる家庭用キャットフードを食べる猫の数
②1匹あたりの年間のキャットフード消費額
を算出します。

①日本にいる家庭用キャットフードを食べる猫の数

日本には家庭やペットショップ、野良、保健所などに猫がいます。家庭用キャットフードを食べる可能性があるのは家庭が飼われている猫のみと考え、 まずは日本全国の家庭にペットとして猫が何匹いるか算出します。

飼われている猫の数=

ペット飼育可能世帯数×ペット飼育世帯の割合×猫を飼っている割合×世帯ごとの平均匹数

単身の有職者世帯はペット飼育不可能とします。ペット飼育可能な世帯のうち、50%がペットを飼っていると考え、そのうち30%が猫だとします。中には複数匹飼っている世帯もあるため、5世帯に1世帯が2匹の猫を飼っていると想定すると、 1世帯あたり平均1.2匹飼っていることになります

3,500万世帯×50%× 30%× 1.2匹%=630万匹

このうち80%がキャットフードを食べ、 20%はキャットフード以外のものを食べているとすると、キャットフードを食べる猫は、以下の数式で求められます。

630万匹×80%=504万匹・・・A

フェルミ推定 例

②1匹あたりの年間のキャットフード消費額

ペット猫の中で、80%がキャットフードを食べ、20%はキャットフード以外のものを食べているとします。

猫は1日に2回キャットフードを食べ、1回あたりの消費額を30円と考えますと、以下の式になります。

1匹あたりの年間消費額=30円×2回×365日=21,900円・・・B

AとBから、年間市場規模を求めると、

家庭用キャットフードの年間市場規模
=家庭用キャットフードを食べる猫の数(A)×1匹あたりの年間消費額(B)
=504万匹×21,900円=1,103億円

になります。

市場規模の拡大が見込める業界

ここでは、「業界動向search.com」をもとに市場規模の拡大が見込める業界を8つ紹介します。

アウトドア

アウトドア業界はコロナ禍でも増収・拡大をし続けています。家族や友人と楽しむキャンプに加えて、1人で行うソロキャンプが流行しています。他に注目を浴びているアクティビティはグランピングや登山、トレイルランニングなどです。YouTubeやSNSでアウトドアの楽しみ方を発信する方が増え、創意工夫を楽しむ方も見られます。業界規模は0.2兆円と言われています。

人材派遣

少子高齢化などで多くの企業が人材不足で悩んでいます。そのため、企業の採用活動は活発化しており、企業と求職者を繋げる人材派遣業界は業績が右肩上がりです。また、派遣法の改正や外国人労働者の受け入れ緩和などでさらなる業績の向上が見込まれます。業界規模は4.4兆円です。

インターネット

インターネット業界は2009年〜2020年にかけて11年連続増収しています。検索エンジンや電子書籍、ネット証券、オンラインゲーム、ECサイト、電子決済など様々なサービスが展開され、いずれも市場を拡大。また、スマートフォンの普及により、検索エンジンやECサイトなどのアクセスが容易になったため、これからも業績を伸ばすことが見込まれます。業界規模は5.9兆円です。

建機レンタル

建機レンタルとは、ブルドーザーやクレーンなど建設機械を貸し出す業界です。豪雨や台風、地震などの自然災害が多い日本では、復興工事や防災関連工事、インフラ再整備工事などを行う建設・土木業界の需要が高いです。関連する業界の需要も相まって建機レンタル業界の業績が好調。市場規模は0.7兆円です。

玩具

消費者の嗜好の変化が早くなり、玩具のライフサイクルが短くなっています。しかし、2020年の玩具販売金額は前年比24.2%増の657億5千万円でした。前年から大幅な増加で600億円を突破し、10年連続のプラスで推移しています。

最近ですとスマートフォンの普及により、需要拡大が厳しいと言われていた「ニンテンドースイッチ」や「PlayStation4」などの家庭用ゲーム機が大ヒットしました。日本は少子高齢化で玩具の需要が下がる見込みなので、海外展開やシニア層をターゲットとするなど市場開拓が進んでいます。市場規模は6.7兆円です。

ネット広告

テレビや新聞、雑誌、ラジオなどの既存広告媒体の売上高が減少傾向の中、ネット広告は15年連続で増加。要因は、以下などが挙げられます。

・スマートフォンやタブレットなどの操作時間の増加
・YouTubeやInstagramなどのSNSや電子書籍、ソーシャルゲームなどの普及

業界規模は0.5兆円です。

介護

少子高齢化を背景に介護業界は業績を拡大。2025年に「団塊の世代」すべてが75歳以上となり、後期高齢者人口は2,180万人(日本の人口の約1/5)に昇ると言われています。そのため、介護事業に携わる人材の育成や派遣、高齢者向けの施設の需要が高まっています。業界規模は0.9兆円です。

医療機器

医療機器と聞くと内視鏡やX線を利用するCT、磁石と電波を利用するMRIなど高額で重厚感のある製品をイメージすると思います。しかし、歯科向けの手袋やガーゼ、マスク、ピンセットなどの医療用品に含まれます。日本を始め先進国は少子高齢化が進み医療水準の向上が見込まれるため今後も成長を見込める業界です。市場規模は4.4兆円です。

まとめ

いかがでしたか?本記事では、新規事業ヲッチあげる際の市場規模を推測する方法と伸びている市場・業界を紹介しました。

株式会社アクリオでは新規事業創出の代行サービスを行なっております。
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などありましたら以下のフォームからお問い合わせください。

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最後までご覧いただき、ありがとうございました。

公式HPはこちら

参考:

経営戦略〈第10回〉 「新規事業の『市場規模』の考え方とは?TAM・SAM・SOMで伝える!」

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