我が国が進めているDX化については、保険業界も対象となります。
では、保険業界で進めれているDX化とは、具体的にはどの様な内容を指すのでしょうか。
本記事では、今、保険業界に求められることや、DX化を疎外している要因について解説しています。本記事を通して、DX化が難航している要因やその解決策を理解していきましょう。
DX戦略が必要な3つの理由
最初にご紹介するのは、DX戦略が必要な理由です。現在、業界を問わず共通していえる理由についてご紹介しましょう。
業務効率化が必要
業界を問わず、業務改善は常に必要とされる経営テーマです。
IT化が促進されることで、手動であった処理のデジタル化が大きく促進されました。しかし、現在では業務の効率化はそれだけでは不十分であると言われています。
今後はIT化による業務改善ではなく、業務そのものの、基盤から変化させる対応が求められています。
これは、業務のあり方自体を見直すことが企業の成長に不可欠な時代が来たためです。企業成長や企業の存続意義を維持するためには、今までと同じサービスをしているだけでは顧客離れが起き、存続に悪影響をもたらします。
変わり続ける顧客のニーズに柔軟に対応するためには、小手先のデジタル化ではなくサービスの根本からの見直しが急務となっています。
事業の創造・改善が必要
顧客から常に選ばれる企業であり続けるには、新しいサービスや商品の開発が必要です。
今までと同じサービスを続けていくことだけでは、変化する顧客ニーズには対応できません。IT化では、今までのサービスの処理を効率化することが目的で推進されてきました。
これに対してDX化は、業務そのもののあり方を見直すことを意味するため、促進することで新しい事業の創造や根本的な改善を図ることが可能です。顧客ニーズや外的環境の変化は絶えず訪れます。DX化を促進することは、新たなサービスや商品の開発環境を整備するためにも必要となります。
競争力の強化が必要
企業は同様のサービスを提供する他社との競争を常に行っています。しかし、その競争の形に変化が訪れています。
従来では国内の同業種の企業との競争だけでした。しかし現在では、新規事業への参入企業の増加、諸外国との競争にも生き残らなければいけません。今まで以上に競争力が求められる時代となったことも、DX化促進を後押ししています。
単純なデジタル化ではなく、企業運営の方向性をも変更可能な基盤構築には、思い切った改革が必要です。それを実現するDX化の必要性は、とても強いものです。
保険業界の課題
次に、DX化推進における課題について解説します。
保険業界における課題にはどのようなものがあるかを確認することは対策を検討する上でも有効です。業界における課題を理解し今後の推進に対する対策を検討していきましょう。
デジタル化へのシフトが難航
保険業界の業務は書面でのやり取りが主流でした。現在でも紙面での文書交付、やり取りが主流で行われているため、アナログ式が主流という側面が否めません。
従来の業務形態が課題となり、デジタル化へのシフトが難航していると言われています。もちろん、ネット保険など、サービス提供などがデジタル化のみで運営されている商品も増加しています。
しかし、従来からのサービス提供に変化を生じさせることができない商品も多く残っているのが現状。DX化の前提にはデジタル化があります。(IT化やデジタル化は、DX化の手法になります。)
デジタル化の遅れはDX化促進の阻害要因となるため、大きな課題の一つといえます。
コスト削減の課題
保険業界の商品は、元本保証など金銭に伴う商品です。そのため、一定以上のコスト削減は難しいと言われています。
業務運営に関するコスト削減の追求を行いつつも、商品原価となる部分のコスト圧縮ができない点もDX化推進の課題の一つとされています。根本的な商品構成の見直しができないため、DX化を遅らせる要素となり、保険業界における課題として取り上げられます。
保険業界のDX化テーマ
次に、保険業界で取り組むべきDX化が必要とされる3つのテーマについて解説します。
DX化を行う上で検討すべきテーマについての理解を深めていきましょう。
効果的な顧客獲得プロセス
顧客獲得のプロセスを効果的に行うことは保険業界における大きなテーマの一つです。
従来の対面形式にこだわらず、インターネットなどを活用し顧客を集めることができれば、工数の大幅な削減が期待できます。また、従来とは異なる顧客層へのアプローチを通して、より顧客数を増やすことが期待できます。
紙面での処理を削減
従来の紙面での処理をデジタル化することも保険業界におけるDX化推進のテーマです。
保険業界には、現在も多くの紙面が存在しています。紙面ベースでの処理フローが構築されているため、紙面を削除しデジタル化することもDX化においては不可欠。顧客とのやり取りや確認書類を紙面からデジタルに変化させることには、基盤となる仕組みの見直しが必要です。
組織改革の促進
DX化を促進するためには、組織の変革も必要になります。組織変革の促進を行うことで、仕組みを変更しても柔軟に対応できる環境を構築することが可能です。
変化に柔軟に対応できる組織作りは難しいテーマですが、組織力の向上もDX化には必要な要素になると理解しておきましょう。組織変革の促進が進むことで、企業の競争力の強化、新規事業立案の環境構築が可能になります。
保険業界のDX導入事例
最後に、保険業界のDX導入事例を2社ご紹介します。
事例を参考にすることで、DX化を促進する上での参考にすることが可能です。
日本生命
「デジタル5カ年計画」を掲げてDX化を促進するのが日本生命です。
紙による処理が多く残った業務を課題と定義し、オンプレミス型AI-OCR「AI inside Cube」を導入することでDX化を促進しています。紙を中心とした処理の業務プロセスを根本から見直し、人に起因する業務工数の削減を目指しています。
参考:DX Suite
住友生命
住友生命では、保険システムを開発する情報システム部門の中で上流工程のシステムエンジニア職をDX人材と定義し社内の変革を進めています。
従来の商品開発を変え、エンジニア自身が商品開発をすることで出来たのが健康増進型保険「Vitality」です。
この商品開発、商品展開をきっかけとして社内のDX化を急速に進めています。今後も、新しい商品開発を通して社内のDX化をより一層進めていく予定としています。
参考:HRテクノロジー
まとめ
本記事では、保険業界におけるDX化をテーマに課題や導入事例をご紹介しました。
保険業界のDX化はまだまだこれからと言われています。しかし、私たちの生活にも密着しているため、今後のDX化により多くのサービスに変化が訪れます。
今後のDX化に注目するとともに、サービスの変化に注目していきましょう。
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