わが国で促進されているDX（デジタルトランスフォーメーション）化は、さまざまな業種や業界で適用されています。物流業界でもDX化が促進されていますが、課題が多いのも実情です。
本記事では、物流業界のDX化についての課題や導入事例をご紹介していきます。どのような課題があるのか、その課題を解決してDX化の促進方法について理解していきましょう。
DX化とは
DX化とは、どのような事柄なのでしょうか。まず最初に、DX化に関する基礎的な事柄を整理していきましょう。
DX化の意義について解説する
DX化とは「デジタル技術を浸透させることで企業の在り方を変革する」と定義することが出来ます。「Digital Transformation」は直訳すると「デジタル変換」という意味になり「変革」が適切な意味合いです。
企業がDX化の推進をする理由
企業がDX化の推進をすることは、企業成長のために必要だと考えるためです。企業がDX化を通して、業務の変革を行うことでより企業成長に期待できます。企業成長には、より効率的な業務の運営が必要なためです。
類似する用語「IT化」との違い
IT化とは、デジタル化による効率化を意味します。それに対して、DX化とはIT技術を使い業務やサービスを変革させることを意味するため、両者には関係性がありますが違うものであることを理解しておきましょう。
物流業界における課題
次に物流業界でおきている課題について解説していきましょう。物流業界では、どのような課題があり、それにどう対応するかを理解することで、DX化促進の課題や対応策を想定できます。
人材不足
物流業界での人材不足の課題は、慢性的な課題とされています。この課題は、2020年3月に日銀が発表した企業短期経済観測調査でも明らかになっています。
運送業界における人手不足は宿泊・飲食サービスに続いて2番目となっており、少子高齢化による人手不足も重なってより深刻化しています。この背景には、業界全体の労働条件の改善が遅れていることも要因であるとされています。
業界全体での改善がなければ大きな一歩を踏み出すことが出来ないとさえ言われ、大きな課題として認識されています。
新型コロナによる生活環境の変化
新型コロナによる影響もDX化を遅らせる課題の1つです。外出を控え、ネットで商品を注文するなどの生活スタイルの変化がおきることで、業界全体の売上が伸びています。
このように業務量の増加は、業界の改善に取り組む時間を確保できない環境ができる要因になってしまっています。
小口配送の増加による業務負荷の増加
近年、ECサイトの利用が一般化しています。このことから、少数の商品を配送する小口配送が急激に増加し、配送業務における業務負荷も増加しています。配送個数が増えることは、一人当たりの配送量が増加することを意味しており、配送担当者の業務負荷に関する課題が生まれています。
物流DXとは？物流業界におけるDX化促進方法を紹介
前述している課題を解決するためには、物流業界におけるDX化の促進が必要だとされています。実際に、どのような方法を導入することが有効であるかを紹介していきましょう。
在庫管理システムの導入
物流業界の在庫管理負荷の軽減のためには、在庫管理システムを導入することが有効です。
在庫管理システムの導入により、在庫の補充有無を人手に頼らずに一元管理することができるため、管理工数の大幅な削減が可能です。また、データを蓄積することで、戦略的な在庫管理が可能になる点は、DX化における大きなメリットといえます。
顧客管理システムの強化
顧客管理システムの強化も物流業界の変革には有効な手法です。
配送先の管理や配送サイクルの予測など、従来の顧客管理をより強化することにより顧客の動向をデータとして蓄積していきます。この蓄積されたデータを分析することで、顧客の動向を予測することが可能になります。
顧客管理システムの強化は業務の効率化だけではなく、戦略的なアプローチにつながる有効な手段です。
倉庫業務のデジタル化
物流の拠点となる倉庫の管理をデジタル化することも有効なDX化手法です。
倉庫業務の管理をデジタル化することにより、効果的な倉庫業務を実現することが可能になります。
在庫管理システムや倉庫管理システムを用いてデジタル化することができれば、相乗効果を測り、より効果的な管理や運用の実現ができます。
従業員管理のデジタル化と強化
従業員の心身を守るための管理をデジタル化することも有効な手法です。
勤怠管理やシフトなどの管理をデジタル化することで従業員の労働管理を強化していきます。こうすることで、過度な業務をさせない環境を構築することが可能になります。
物流業界におけるＤＸ導入事例
次に、物流業界におけるDX導入事例をご紹介しましょう。成功事例を確認することは、自社におけるDX化の促進の参考にもなります。
日本電気株式会社（NEC）
日本電気株式会社（NEC）では、物流を起点にしたサプライチェーンの最適化を目指す「NECロジスティックプラットフォーム」の概念を発表しています。
ドライバー不足を解消するための自動走行トラックや無人フォークリフトなどについても考えられています。モノの流れをデータ収集、分析することで最適な人材配置や最適ルートの構築などを目指しています。
株式会社日立物流
株式会社日立物流は、自社のDX化を推進することで、従来から行っていたビジネスモデルをコアとした新しいビジネスモデルの展開を発表しています。
株式会社日立物流では、単純に物流をDX化するのではなく「製造」「販売」を一体にした情報の分析を行い、効果的な物流業務を行うことを目指しています。
Uber Japan株式会社
タクシー配車の業務をデジタル化したDX化の代表的な事例です。
配車したタクシーの位置や、運転手の情報を利用者に分かり易く展開する仕組みです。この仕組みを利用し、サービスレベルの向上だけではなく、効果的な配車サービスを展開しています。
まとめ
本記事では、物流業界のDX化について解説しています。物流業界におけるDX化の課題や解決策から、実際の導入事例を通して、物流業界におけるDX化についての理解を促進していきましょう。
DX化の促進は容易なことではありませんが、実現した際の効果は想像以上です。ぜひ、本記事を今後のDX化に役立ててください。
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